Lecture

UpDate/2016/2/5


 =MENU(2015)=

  1. 各務原という地名
  2. 月に地名をつけた日本人
  3. 十万年前の川の跡
  4. 日本人のルーツ
  5. 零戦と各務原
  6. 災害立国日本
  7. 各務原から展開する古代地名
  8. 私が巡った外国の地名
  9. あの世の地名
  10. 本美濃紙のお話し
  11. 「がんどばぼち」と木遣音頭
  12. 食・中山道・かかみがはら
  13. 第34回全国地名研究者大会
第5回定例講演
(平成28年12月19日)


U.本美濃紙のお話し
(元美濃市教育長)川嶋 智孝

*本ページは講演内容を参考に当編集部が作成したものです。


◆ユネスコ無形文化遺産登録までの経緯



2009年9月
第4回政府間委員会
(アブダビ/アラブ首長国連邦)
「石州半紙」がユネスコ無形文化遺産に登録される。
2010年12月
文化審議会特別委員会
「本美濃紙」を審査順位1位で通報するを決定。
2011年11月
第6回政府間委員会
(バリ/インドネシア)
「本美濃紙」について「情報照会*」の決定。
2013年3月
文化審議会特別委員会
「石州半紙」を拡張し「和紙:日本の手漉和紙技術」としてユネスコに提案
既に登録されていた「石州半紙」との類似性を指摘され「情報照会」の決定を受けたことを踏まえ, 国指定重要無形文化財(保持団体認定)の3件(石州半紙,本美濃紙,細川紙)を構成要素としてグループ化し, 「石州半紙」の拡張提案としたものです
2015年10月 「和紙:日本の手漉和紙技術」について補助機関より「記載」の勧告。
2015年11月
第9回政府間委員会
(パリ/フランス)
「和紙:日本の手漉和紙技術」について「記載」の決議。
*「情報照会(Refer)」:締約国に追加情報を求める政府間委員会の決議区分の一つ
◇政府間委員会
ユネスコ無形文化遺産保護条約の締約国(平成 26 年 11 月 1 日現在 161 か国)から選出された 24 か国で構成。
年1回開催され,補助機関の勧告を踏まえ,「代表一覧表」記載について最終決定を行う。

<政府間委員会委員国一覧> □囲みは補助機関メンバー
ベルギーギリシャトルコエジプトウガンダナミビア
ラトビアブラジルペルーインド韓国モンゴル
アフガニスタンセントルシアキルギスウルグアイブルガリアアルジェリア
コンゴ共和国コートジボワールハンガリーチュニジアエチオピアナイジェリア

◆美濃和紙の歴史と特徴

 奈良の正倉院には、わが国としては最も古い大宝2年(702)の美濃、筑前、豊前の三ヶ国の戸籍用紙が所蔵されています。 その中でも美濃の用紙は他の二国のものと比べ技術的に断然優れていました。 中世には、京都の貴族や僧侶たちの手紙や記録の中に、美濃の紙の名が度々登場し、近世から現在にかけては、 美濃は地域によって各種様々な紙を生産する紙の宝庫的な存在でもありました。 このように華やかな時代とともに、1300年余りの間、磨き続けられてきた伝統の技は、今もなお確実に受け継がれ現在に至っています。
 本美濃紙の魅力は、柔らかみのある温雅な紙色と、陽の光に透かして見た時の繊維が縦横に整然と絡み合っている美しさです。
 丹念に白皮まで処理された楮の原料は薬品を使わずに入念に加工し、栃板による天日乾燥を行うなど、一貫して昔ながらの自然な処理を心がけています。 また、漉く際には「そぎつけ」とよばれる高級な簀を用いて、縦揺りに美濃独特の横揺りを加えた微妙で複雑な動かし方を行うのが特徴です。
現在、この伝統技術は本美濃紙保存会によって、保存・継承の努力がなされています。
本美濃紙には、茨城県で栽培された最高級の那須楮がつかわれます。

【那須楮畑/茨城県大子町】


◆美濃和紙の出来るまで(作業工程)

★写真をクリックすれば拡大して見られます ↓
@川晒し・水晒し
那須楮の白皮を清流に数日間浸し、自然漂白させるとともに不純物を取り除きます。
【川晒し】
長良川の支流、板取川の清流に白皮を晒す。
【水晒し】
豊富な湧水や、地下水を利用して白皮を晒す。
A紙煮・煮熟しゃじく
草木灰やソーダ灰を溶かした湯の中で、白皮を軟らかくなるまで煮熟します。
【煮熟】
ソーダ灰を入れた湯に白皮を重ならないように入れる。
火を止めてから2時間ほど蒸らし繊維を落ち着かせる。
B紙しぼり・ちり取り
川屋(かわや)と呼ばれる清らかな水の流れる所で、丁寧に不純物を取り除いていきます。
【ちり取り】
【ちり取り】
一本ずつ清流に浸しながら、塵や傷を取り除いていきます。
C紙打ち・叩解こうがい
一本ずつの繊維に、ほぐすように白皮を本美濃紙特有の木槌を使って打ちこなします。
木槌には効率よくほぐすことができるように、打つ面には放射状の切れ込みが入れてあります。
D攪拌かくはん
漉き舟に水を張り、楮の繊維を混ぜ合わせます。「ねべし」は楮の繊維をまんべんなく分散させ、沈殿を抑えます。

馬鍬による攪拌

ねべしの投入

まぜ棒による攪拌
ねべし
「ねべし」は、トロロアオイの根をすり潰し、水を加えて抽出した粘液です。
【トロロアオイ】
アオイ科の一年草トロロアオイの根をすり潰して水を加えます。
【ねべしつつき】
トロロアオイを潰す。
不純物を取り除くため、ろ過します。
E紙漉きすき
本美濃紙の漉き方は、縦揺りに、ゆったりとした横揺りを加えるのが特徴です。
【化粧水】
紙の表になる面を整える。
【縦揺り】 【横揺り】 【払い水】 指先で簀を持ち上げる。 タネ台に合わせる。 紙を重ねていく。漉きあがった紙はそのまま一晩置かれる。
F脱水・圧搾あっさく
圧力をかけて、ゆっくりと水分を絞る。
【タネ紙】
圧縮後の紙。
手漉き和紙用具とその制作技術

【刷毛】

【漉き簀】

【こて(桁)】
G紙干し
脱水後、栃の一枚板に貼り付け天日で乾燥させます。
日光によって紙が自然漂白され、上品な艶と色合いを持つ本美濃紙の地合いになります。
タネ紙をはがす。
専用の刷毛を用いて栃の板に貼り付ける。
天日で乾燥させる。
乾き具合を見て裏返す。
H選別
一枚ずつ陽の光にかざしながら厚さや色合いごとに選別します。
傷のある紙などは取り除きます。
I紙こしらえ・裁断
紙を重ねて規定の大きさに裁断する。
本美濃紙が完成する。

★写真をクリックすれば拡大して見られます ↑


【参考冊子:『本美濃紙』/美濃市文化遺産活用実行委員会発行】

◆文化遺産保存への取組みと地域振興との関わり

○美濃和紙伝承 千年プロジェクト
千三百年の伝統を誇る美濃和紙の中核となる「本美濃紙」清流の産物である本美濃紙は、 薄くても強く、きめ細やかで整然と漉き上げられた「本物」であり、日本の誇る世界の宝物である。 ユネスコ無形文化遺産登録を千載一遇のチャンスとして、広く情報発信し、千年後も同じ姿を継承するために、 後継者の育成・産業振興と合わせ、観光誘客による地域活性化を目指す。
【美濃和紙伝統文化の保存・継承】
1.後継者の育成
2.原料・用具の確保
【美濃和紙による産業活性化】
1.美濃和紙産業の振興
2.観光産業の振興
 詳しくは⇒ 美濃市市政情報・・美濃和紙伝承千年プロジェクトへ(別ウインドで開きます)
○紙の文化交流/友好交流都市
【イタリア共和国アマルフイ市】
 1300 年の伝統と技術を継承する日本国の重要無形文化財「本美濃紙」と、約800 年の伝統技を有する「アマルフィ紙」は、 共に、永年にわたる歴史と伝統の中で、技術を継承し現在に至っています。
 しかしながら、手漉き紙の需要の低迷や後継者不足から伝統文化・伝統産業を守っていくことが困難な状況にあります。
 こうした中で、「本美濃紙」を有する美濃市と「アマルフィ紙」を有するアマルフィ市両市は、 連携・交流し、後継者の育成や世界に向けた情報発信を行うことで、歴史的伝統文化の維持保存と 手漉き紙を活用したまち(地域)づくりや販路拡大に資することを目的に、「紙の文化交流」友好協定を行うものです。
【大韓民国原州市】
美濃市と大韓民国原州市は相互の伝統的な紙を通じて蓄積された知的財産や資料の情報交換により 伝統文化産業の繁栄と発展を促進するために、和紙と韓紙友好交流に関する協定を2010年10月8日に締結しました。
 詳しくは⇒ 美濃市市政情報/友好交流都市へ(別ウインドで開きます)

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